Shakaの辛口論壇
交際相手のいない男女が過去最多
国立社会保障・人口問題研究所が18~34歳までの男女を対象に、交際相手がいるかどうか調査したところ、男性で61%、女性で49%に上り、過去最多になっていることが11月25日、分かった。調査は5年おきに行われており、今回は昨年6月に実施したが、5年前の2005年に比べて「彼女がいない」男性は約9ポイント、「彼がいない」女性は約5ポイントそれぞれ増加した。
調査結果について同研究所は「結婚や交際を望んでも、仕事が忙しかったり、経済的な余裕がないために、諦めているのではないか」と分析している。
一方、結婚する意思がある人の割合は男性86%、女性89%と高い。だが、結婚を望みながら、独身でいる理由について年齢間で温度差がある。適齢期の25~34歳では「適当な相手に巡り合わない」が男性46%、女性51%に。また「結婚資金が足りない」は男性30%、女性16%となっており、さらに「異性とうまく付き合えない」とする男性が13%、女性が11%もいる。
バブル崩壊後、景気が低迷していることはご承知の通り。経営環境の悪化に伴い、企業の正規社員の求人は手控えられ、代わって登場したのが契約社員、派遣・パート等の非正規社員の雇用だ。そのあおりを受けて、新卒者の収入は低賃金で不安定なものとなり、経済的な“ゆとり”がなくなってきた。この結果、遊び感覚は薄れ、男女の触れ合う機会も総じて少なくなっているのではないか。結婚年齢が遅れれば、「少子高齢化」に一段と拍車が掛かることになろう。
米国のリーマンショック以来、世界の景気は低迷を続けている。欧州ではギリシャに続き、イタリアの財政の破綻(はたん)問題が取りざたされており、いま欧州全体(ユーロ圏)が危機的な状態にある。また日本では想定外の東日本の大震災を受け、復旧・復興の作業は待ったなしの状況。政府は復興予算の確保に四苦八苦しているが、それを軽視するかのように世界の金融市場は日本に対して厳しい。依然として円高ドル安の基調は変わらず、国内の輸出産業は悲鳴を上げているのが現状だ。
加えて大国での洪水被害により現地で工場を所有している日系企業は、操業停止に追い込まれ、車やコンピューターの部品など製品を出荷できず、売り上げ目標に大きな狂いが生じてきた。これらの外的要因が災いして、日本は今なおデフレから脱却する糸口がつかめてない。
ところで、政治家は口を開けば「少子高齢化対策」を声高に叫ぶ。しかし、その対策の一環であったはずの「子ども手当」は財政難を理由に減額され、また乳幼児を抱える女性にとっては不可欠の保育対策が遅れ、安心して働き、子どもを育てるという社会環境には程遠いのが実情。「共働き」を推奨するわけではないが、世帯主の収入を安定させる方策を講じなければ、若者の生活は不安定となり、婚期を逸する事態にも発展しかねない。
日本の人口は現在、約1億2700万人だが、あと40年もすると、1億人を割るという予測も出ている。長寿国日本では今後とも、お年寄りは増えていくが、それを担う働き手が少なくなれば、財政は完全に破綻し、「斜陽国家」に転落していくのは間違いないだろう。
若い男女の出会いが少なく、結婚年齢も高齢化し、子を産む数も少なくなっていけば、未来に待っているのは“不幸社会”ではないのか。結婚適齢期に家庭を築けるような社会の創出は、すべての国民の願いだろう。日本の政治家よ、しっかりせよ! 上記の調査結果は今後の雇用制度、社会制度の在りように問題を投げ掛けている。
★関連サイト
http://www.okuyami-ad.jp/newpage13.html
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