宇宙に存在しない異星人(エイリアン)
宇宙に関するテーマをお届けしたい。SF映画ではおなじみの異星人(エイリアン)だが、米ホワイトハウスは今月7日、異星人がいる証拠はないとする異例の公式見解を発表した。これは米国市民から「政府は宇宙人の存在を知りながら、その事実を隠している」とする宇宙人の情報開示を求める1万7千人の請願書に応えたもので、オバマ政権の宇宙政策・広報担当のラーソン氏がウェブサイトで明らかにした。
この中でラーソン氏は、多くの科学者は地球以外の星々の中に“生命の故郷”となっている惑星が存在する可能性は高い、との結論に達しているが、一方で「知力を有するもの(異星人)と人間が接触する可能性は極めて低い」と指摘。その存在を示す証拠もないとコメントしている。
私たち「地球人」に対し、我々は他の惑星に住む生物を「宇宙人」あるいは異星人と呼び、区別している。SF映画では宇宙人に関する作品も数多く作られ、大きな話題となることもしばしば。若者は熱中し、時代のトレンドを生んだりしたが、確かに知的好奇心をかきたてる格好の材料には違いない。
今回のホワイトハウスの見解を筆者は支持する。最新の宇宙科学で明らかになっているのは、人間の目には見えない「暗黒エネルギー」(ダーク・エネルギー)が全宇宙の約4分の3(73%)を占めていることだ。同じく「暗黒物質」(ダーク・マター)も23%ある。残り4%が星や銀河を形づくる物質(物質宇宙)だという。この暗黒エネルギーに起因して宇宙は膨張を続けている、とした3人の科学者は今年、ノーベル物理学賞を受賞した。
我々が住む地球は、混沌とした大宇宙の中でガスとチリから生成され、46億年前に誕生した。知的能力を持つ人類(ホモ・サピエンス)の誕生は20~25万年前の話。地球の長い歴史からすると、ごく最近の出来事でしかない。
だが、この知的生物の人間は、他の生物と明らかに違う特異な存在である。「万物の霊長」といわれるように、日常の努力により自分自身の精神性を高めることができる有意の生命体だ。
ただ、周囲の環境や自分自身の心のもち方ひとつで「善人」にも「悪人」にもなり得る存在でもある。それだけに自分を修めるすべを持たないと大変なことになる。自身を制御できる資質は人間に備わった特性であり、その意味で人間として生まれてくること自体が尊いといえよう。
このように見た場合、広大な宇宙に人間を超えた、また人間と同等な特質をもった知的生命体が今の時点で存在していることは考えられないことだ。人間は動物的な本能とは別個に、自分自身の精神性を高める哲学や宗教をもち、実践することができる。他の生物との大きな違いも実はそこにある。
さて、科学は原因と結果を重視する。これは真理を探究していく上で不可欠なものだ。火のない所に煙は立たぬ、と同じ理屈である。この原理は宇宙論を語る場合でも当てはまるもの。生まれるべく原因が作られれば、結果として生命(星)が誕生するのは当たり前の話。大宇宙でも「因果の理法」は厳然として働く。暗黒エネルギー、暗黒物質の真の理解なくして、生命の問題を論じるのは不可能だろう。
結論を急ごう。日常の実践により自分自身を昇華できる生物は、宇宙広しといえども、人間をおいて外に存在しないはず。それ故に「異星人は宇宙に存在しない」というのが筆者の結論である。
★関連サイト
http://www.okuyami-ad.jp/newpage13.html
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